
Googleが次世代Pixelシリーズ向けのチップ「Tensor G5」の開発を進める中で、これまでのSamsung依存を大きく見直し、台湾のTSMCへと製造を切り替えることが明らかになっています。そして、この移行に伴い、Tensor G5ではGoogleが独自設計した完全カスタムのISP(画像処理プロセッサ)が採用される可能性が浮上しました。
TSMC製造への移行でTensor G5の構成が大きく変化
GoogleのTensorチップは初代から一貫してSamsung製のExynosベースの設計を活用し、Samsungのファウンドリで製造されてきました。しかし、Pixel 10シリーズで採用される予定のTensor G5では、TSMCへと製造を切り替えるため、従来Samsungが提供していたコンポーネントの多くを置き換える必要があります。
Android Authorityの最新レポートによれば、Tensor G5では以下のような主要コンポーネントの変更が行われるとのことです。
- GPU: Arm Mali → Imagination Technologies DXT
- ビデオコーデック: Google「BigWave」 & Samsung MFC → Chips&Media WAVE677DV
- ディスプレイコントローラー: Samsung DPU → VeriSilicon DC9000
- ISP(画像処理プロセッサ): Samsung製ISP(Googleカスタム) → Google完全独自設計ISP
- 物理レイヤーコントローラー: Samsung → Synopsys DesignWare IPコア
- SPMIコントローラー: Samsung → SmartDV SPMI
- PWMコントローラー: Samsung → Faraday Technologies FTPWMTMR010
- UFSコントローラー: Samsung → 不明(サードパーティ製)
この中でも特に注目すべきなのは、ISP(画像処理プロセッサ)の完全カスタム化です。
Google独自のISPがもたらすカメラ性能の進化
Googleは過去にもSnapdragonを搭載していたPixel 2シリーズで「Pixel Visual Core」、Pixel 4シリーズで「Pixel Neural Core」という独自ISPを採用していました。しかし、2021年のTensorチップ登場以降、Samsung製ISPをカスタマイズする形で画像処理を担ってきました。
今回のTensor G5では、ついにGoogleが完全自社開発のISPを投入することで、Pixelシリーズのカメラ性能がさらに進化する可能性が高まっています。
これにより、Google独自の画像処理アルゴリズムをハードウェアレベルで最適化できるため、より高度なHDR処理、ノイズリダクション、AIによる被写体認識精度の向上などが期待されます。また、ISPを自社開発することで、他のスマートフォンメーカーにはない独自のカメラ体験を提供できる点も注目すべきポイントです。
Tensor G5はPixel 10シリーズにどう影響するのか?
カメラ以外にも、Tensor G5ではSamsung製モデムを廃止し、MediaTek製のモデムを採用する可能性も報じられています。これは、Pixelシリーズの通信品質やバッテリー効率に影響を与えるかもしれません。
こうした変更が最終的にどのようなユーザー体験につながるのかは、実際の製品発表を待つ必要がありますが、GoogleがPixelシリーズの差別化を本格的に進めていることは間違いなさそうです。