MediaTek、新型IoT向けチップ「Genio 720」と「Genio 520」を発表 〜AIも搭載〜

MediaTekは、かつてはミッドレンジスマートフォン向けのチップメーカーとして知られていましたが、近年では高性能なスマートフォンやタブレット向けのチップも手がけるようになり、確かな存在感を示しています。そして今回、同社は新たな分野に本格参入することを発表しました。それが、IoT(モノのインターネット)向けの新チップ「Genio 720」と「Genio 520」です。

Embedded Worldで発表、AIにも対応

この新チップは、ドイツで開催された「Embedded World」で発表されました。現時点では、どのデバイスに搭載されるかの詳細は明らかになっていませんが、通常、新しいチップが発表されてから実際の製品に搭載されるまでには数ヶ月かかるため、今後の展開が注目されます。

Genio 720とGenio 520の特徴

今回のチップの最大の特徴は、高いエネルギー効率です。IoTデバイスは常時電源に接続されていることが多いため、消費電力を抑えることが重要になります。また、バッテリー駆動のデバイスであれば、少しでも長く動作することが求められます。

Genio 720とGenio 520の両モデルには、Arm Cortex-A78を2基、Cortex-A55を6基搭載。これにより、省電力と性能のバランスが取れた設計になっています。MediaTekによると、これらのチップはスマートディスプレイ、スマートリテール端末、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)アプリケーションなど、多様な用途に対応できるとのことです。

AI性能も大幅向上、最大10TOPSの処理能力

AI機能にも力を入れており、MediaTekの第8世代NPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載。最大**10TOPS(1秒間に10兆回の演算)**の処理能力を誇り、ハードウェアアクセラレーションも備えています。

さらに、最大16GBのLPDDR5メモリに対応し、Gemini、Phi、Llama、DeepseekといったさまざまなLLM(大規模言語モデル)を活用可能。これにより、クラウドに頼らずデバイス単体で高度なAI処理を行うことができ、プライバシーの保護にも貢献します。

MediaTekのIoT市場での戦略

IoTデバイスは、ユーザーの行動や周囲のデータを収集することが多いため、データ処理をローカルで完結できることは大きな利点です。クラウドを介さずにAIを活用できるデバイスが増えれば、より安全な環境が構築されるでしょう。

MediaTekは、スマートフォン向けSoC市場だけでなく、IoT市場にも本格的に参入する構えを見せています。今回発表されたGenio 720とGenio 520が、どのような製品に搭載され、どのような影響を与えるのか、今後の展開に注目です。

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